加瀬英明のコラム
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  現行憲法は、日本の悠久の歴史に根を降ろしてない
    Date : 2017/01/06 (Fri)
 11月23日は、いまでは「勤労感謝の日」という、英語から翻訳したような名で呼ばれる休日となっているが、正しくは「新嘗祭(にいなめさい)」である。

 1年を通して、この日だけ、天照大御神が日本に降臨される。

 皇居の賢所(かしこどころ)に降臨される。大御神が超近代都市の真ん中にある、緑が茂る皇居に降りてこられるのだ。
 新嘗祭に当たって、天皇陛下が皇居にある宮中三殿の賢所において、親しく祭祀を執り行わられる。大御神が降臨されると、陛下が新穀を皿に盛りつけられ、大御神におすすめして、共に召し上がられる。

 この時に用いられる皿は、柏(かしわ)の葉である。陛下がお使いになられる箸は、今日の近代的な2本棒の箸ではなく、竹を削いで火で炙って、ピンセット状にしたものだ。箸の原形といわれる。

 毎年、京都の石清水八幡宮の境内に群生する竹が献上されて、この大祭のために箸がつくられる。

 日本民族がまだ文字を持たなかった時に、発祥した祭なのだ。日本は古い、古い根をもった国である。

 「日本国憲法」と呼ばれている現行憲法は、昭和22年に発効してから、69年しかならない。69年といえば、日本の悠久の歴史のなかで、瞬(まばた)きする時間にしか当たらない。

 そのうえ、現行憲法は占領軍によって強要――「この憲法草案を受けいれなければ、天皇の一身の安全を保障できない」と威嚇されて、押しつけられたものだ。

 いったい主権を失っていた国が、憲法を制定できるものだろうか。

 日本国憲法の原文は、英語である。いったい一国の憲法の原文が、その国の国語によって起草されず、外国語で書かれていることがありうるものだろうか。

 この2つのことだけとっても、「日本国憲法」と呼ばれている現行憲法は、日本国の憲法として資格がない。

 根のない木はない。現行憲法は日本の2000年以上にわたる歴史に、根を降ろしていない。今日の日本は根のない木なのだ。

 いま、アメリカが超大国として世界秩序を支えるのに疲れ果てて、超大国の座から降りつつある。世界が混乱して、弱肉強食の時代に入ってゆこう。

 オバマ大統領が在職中に、「もはやアメリカは世界の警察官ではない」と述べたが、トランプ次期大統領も選挙中に同じ発言を行っている。

 いまこそ、日本は自立しなければならない。

 日本はアメリカによって保護されてきたのを、「平和憲法」によるものだと錯覚してきた。日本国民はアメリカによって与えられた属国憲法によって、自立精神をすっかり蝕まれてしまった。

 日本は現行憲法によって、根がない国となってしまった。根がない木は強風に耐えることができない。

 日本が倒木となってしまって、よいものか。

 現行憲法は第1章第1條で、天皇を「日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定しているが、天皇が日本を日本たらしめており、まさか、いま生きている国民がその地位におつけしているのではあるまい。


  日本は言葉によって支えられている ことばこそ生命だ
    Date : 2017/01/05 (Thu)
 読売新聞だった。12月1日付朝刊の大見出しを見て、今日の日本がもはや私が知っていた日本ではないのだと覚って、体から力が抜けてゆく思いを味わった。

 見出しは、「退位容認9人慎重7人 有識者会議年明け論点整理」というものだった。

 そのうえ、この記事のすぐわきに「デジタル教科書容認 紙が基本 20年度から小中高で」という、見出しがあった。

 「退位容認9人」――「容認」というのは、天皇陛下を目下にしているものだ。

 新聞の使命を再認識してほしい

 私は読売新聞と産経新聞を、保守派の新聞として購読しているが、読売新聞までもかと思って、落胆した。どうして編集局のなかで、誰も気付かなかったのだろうか。
 
 言葉は人と社会のありかたをつくる、もっとも強い力を持っている鋳型である。

 天皇を上からの目線で、見降ろすことがあれば、日本という国が溶解してしまう。読売新聞社の編集局には、おそらくそのような意図がまったくなかったにちがいない。そうだとしたら、もっと恐ろしいことだ。

 「有識者」は意味不明の言葉

 「有識者」という言葉も意味不明で、正体が分からない。その証拠に、私たちは日常会話のなかで特定の人を指して、「あの人は有識者です」ということがない。意味がないのだから、言葉といえないだろう。

 それなのに「有識者」という言葉が、大手を振って闊歩している。

 私もこれまで何回か、政府の諮問委員会に連なったり、「有識者」として意見を求められたことがある。それでいながら、私は自分に対して、「有識者」という言葉を説明することができなかった。

 かなり以前のことになるが、1回、2万円か、3万円か日当を支給されたことを、記憶している。すると「有識者」は、「政府から1回3万円貰って、意見を述べる人」と、定義するべきなのだろうか。

 天皇のありかたという、国家にとって重大事を、一握りの「有識者」の意見によって、決定してよいものだろうか。「年明け論点整理」というが、そんなに急ぐ必要があるものだろうか、と思う。

 「新嘗祭」の歴史と意義

 11月23日は、戦後の日本では「勤労感謝の日」と呼ばれる休日とされているが、正しくは秋の収穫に感謝する「新嘗祭(にいなめさい)」である。

 天照大御神が1年を通じて日本に降臨されて、天皇と共食される日が1日だけある。11月23日の新嘗祭だ。

 天皇は、皇居の宮中三殿の賢所(かしこどころ)に降臨された天照大御神をはじめとする神々に、お手づから箸を使われて、新穀を皿に盛りつけられておすすめし、召し上がられる。

 この時に用いられる皿は土器ではなく、柏の葉である。箸は2本の棒ではなく、竹を削いで、火で炙ってピンセット状にしたものであって、箸の原型といわれる。

 今年(平成28年)も、陛下は午後7時から賢所において、新嘗祭の「夕(よい)の儀」を執り行われた。

 柏の葉の皿と箸の原型

 陛下が御高齢になられたために、午後11時から翌朝の午前1時まで斎行される「暁(あかつき)の儀」については、一昨年(平成26年)から掌典長が代行してきた。掌典は天皇にお仕えする神官である。

 この祭典で、柏の葉の皿と、竹を炙ったピンセット状の箸が用いられているのは、日本という国が世界に類例がない、古い生い立ちを持っていることを、示している。

 日本を日本たらしめている祭祀

 超近代的都市である東京の真ん中に、緑の小島のように浮ぶ皇居のなかで、このような原始的な祭が行われている。

 天皇はお元気であれば、宮中三殿において年間20回あまりの祭祀を、親しく行われる。これこそが、日本を日本たらしめている祭である。

 ところが、これらの宮中祭祀は、現憲法のもとでは、天皇の「私事」として軽視されているために学校教育の場で、天皇が日本と世界の平和を真摯に祈られていることを、教えることができない。

 それにしても、「勤労感謝」という言葉は、アメリカ語を訳したようで、私たちの胸から遠い、遠いところにある。奇妙な名がついた休日である。日本では働くことは、欧米と違って常態であって、勤労に感謝するという発想がない。

 現行憲法は心を欠いている

 現行憲法の第1章第1条は、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と、規定している。こんな軽薄なことで、よいのだろうか。

 いま生きている日本国民が、日本の主権者だとされているが、いったい、日本はいま生きている国民だけのものなのだろうか? 日本はこれまで生きて、日本という国を築いてきた、全員のものであるべきだ。

 天皇はいま生きている、日本国民の統合の象徴であるだけではない。日本という国が生まれてから、今日まで日本を統合してきた精神の要であってきた。

 いまでは、「国民の祝日に関する法律」といって、占領下でアメリカ軍が「祭日」を否定したために、「祝祭日」という言葉がなくなった。

 根のない国籍不明な国から脱出しよう

 日本の伝統文化を捨てたために、クリスマスや、ハロウィーン、女性から男性にチョコレートを贈るバレンタインデーが、国民の祭になって、根のない国籍不明な国となっている。

 マスコミは日本と係わりがないクリスマスや、ハロウィーンや、バレンタインデーを大きく報道しても、新嘗祭を取り上げることがない。

 産経新聞に1ページ全面の「企画特集」として、「赤坂インターシティAIR、来年九月開業」という記事が、載っていた。

 「緑あふれる新ランドマーク」という、見出しがある。

 これが日本の首都なのか

 目を通したら、「東京都の外国企業誘致プロジェクト『アジアヘッドクオーター特区』‥‥」という書き出しで、「ディベロッパー」「リフレッシュ」「オフィスエントランス」「オフィスラウンジ」「フリーWi‐Fiスポット」「イベント」「コンファレンス」「メディカルモール」「マスダンパー」「ホーマット バイカウント」という外国語が、日本語の注釈なしに、目白押しに出てきた。

 これが日本なのだろうか? 私は赤坂の近くに住んでいるが、もう、こんなところには住みたくないと思って、慨嘆した。

 「赤坂インターシティAIR」とは、何の意味なのだろうか。「AIR」はカジノという賭博場を認めるIR法が、衆議院を通ったところなので、「アカサカアイアール」の略なのだろうか。

 きっと、海外からカジノ企業を誘致して、昼間から胴巻きに分厚い札束をぶちこんだ男たちが、血走った眼をして、鉄火場に出入りすることになるのだろう。いずれにせよ、カタカナの外国語ばかりによって埋めつくされた場所からは、遠ざかりたい。

 言語障害を患う人は、正常な日常生活を送ることができない。今日の日本は言語機能を損ねた人に、似ている。

 生半可な言葉を使うことによって、幼児化してゆく。日本は幼児化している。

 民族の自分の言葉は生命なり

 歴史を振り返れば、民族は自分の言葉を失うなかで力を失い、ついに亡びることを教えている。

 先月、地方を訪れたが、地元の「文化振興協会」の役員から、「国際化に対応して、文化の振興に努めています」と、聞かされた。

 私は「文化振興」という言葉が、欧米に存在しないことに気付いた。西洋列強の脅威に対抗して近代国家を建設した、明治の「文明開化」が生んだ言葉にちがいないが、そろそろ日本文化に自信を持ってよいのではないか。


  国民と自衛隊を遠ざける「言葉狩り」
    Date : 2016/12/21 (Wed)
 世界が流動化している。平和“無抵抗”憲法を改正すべきだが、時間の余裕がない。日本を守るために、国防力を強化すべきだ。

 今年の最大のニュースといったら、トランプ氏が米国大統領として当選したことだろう。

 “暴言王”の勝因の一つが、歯に衣(きぬ)を着せずに乱暴な言葉を連発したことだった。

 アメリカで知識階級が「ポリティカル・コレクトネス(PC)」という言葉狩りを行ってきたのに、大衆がうんざりしていた。

 この40年ほど、マンというと女性蔑視だから、チェアマン(議長)をチェアパーソンと言い替えるなど、多くの常用語が使えなくなったが、このところミスター、ミセス、ミスは同性愛者、性同一性障害者に対する差別だから、Mx(ミックス)と呼べとか、今年、オバマ大統領が「自分がそう思う性別によって、男女どちらのトイレを使ってもよい」という大統領令を発したために、国論を二分した。

 日本でも、バカバカしい言葉狩りが罷(まか)り通ってきた。警察庁が婦人警察官の「婦」が差別だといって、「女性警察官」に改めた。家のなかを掃く帚(ほうき)は、女性の心の延長だった。電気掃除機とか家電製品は、すべて心を省く器械ではないか。

 日本の言葉狩りは、米国よりはるかに酷い。

 稲田防衛大臣が「防衛費」を「軍事費」といったら、国会で叩かれた。だが、巷(ちまた)で庶民が防衛費を軍事費といっても、咎(とが)められまい。

 自衛隊に「普通科連隊」「特科連隊」があるが、一般国民には何のことやら分からない。「普通科」は歩兵、「特科」は砲兵だが、言葉狩りで「兵」というのを禁じているからだ。

 自衛隊の階級で「一士」は旧軍の上等兵、「一佐」は大佐に当たる。自衛隊は判じ物――文字に隠された意味を当てる謎解き――の言葉だらけだ。

 国防は国家の大事だ。だが、「普通科」「特科」「一士」「一佐」といっていたら、国民が自衛隊を身近に感じるはずがない。

 防衛費が軍事費で、なぜいけないのか。国防も「安全保障」といい替えられている。

 国を海外からの脅威から守るためには、国民と自衛隊が一体でなければならない。

 日本国憲法は、海外の厳しい現実を見失わせるが、言葉狩りが自衛隊を国民から遠ざけている。

 憲法を改めなくても、自衛隊の用語を正すことができる。大急ぎで改めよう。


  力しか信じないロシア
    Date : 2016/12/20 (Tue)
 プチン大統領が来日して、2日にわたる日ロ首脳会談が行われた。

 日本側はプチン大統領の決断によって、ロシアが北方領土について譲歩することを期待してきたが、やはり厚い壁を破れなかった。

 ロシアは戦争によって奪った領土は、自分のものと舌舐(なめずり)しているが、泥棒猫に説法するようなものだ。

 日ロの文化は、水と油のように異なる。

 私は4月に晩餐会で、アファナシェフ駐日ロシア大使と隣席した。プチン大統領がシリアを爆撃したパイロットに勲章を授ける映像を、テレビで見た後だったので、話題にしたところ、「わが国では勲章を貰ったら、ウォッカをなみなみとついだグラスにポトンと落し、一気飲みするのがマナーです」といった。気が荒い人々だ。

 ロシアの夏は短い。麦の収穫を慌てて、大急ぎですまさねばならない。細かいことに構っていられないから、繊細さを欠いている。

 ロシア人は力しか、信じない。ロシアは9世紀の小さなキエフ公国が、今日の世界最大の領土を持つまで膨張したから、国境という概念がない。この点、中国と共通している。

 「偉大なるロシア」という言葉が、ロシア人を酔わせる。中国人が習近平国家主席の「偉大なる5000年の中華文明の復興」という呼び掛けに、振い立つのとよく似ている。

 プチン大統領は「冷戦によって、ソ連が解体したのが、20世紀の世界の最大の悲劇だ」と公言している。まだ冷戦時代に生きているのだ。毛沢東以来中国の最高指導者が、中華大帝国の復興を夢みてきたのと、変わらない。

 毎年、プチン大統領は筋肉隆々の上半身を誇示した、カレンダーを発売してきたが、ドーピングに用いられる筋肉増強剤の成長ホルモン(HGH)と、男性ホルモン剤のステロイドを注射しているという、噂があった。

 ロシア選手団が昨夏のリオ五輪大会からドーピングのために締め出されたから、私は来年のプチン大統領のカレンダーから、裸の上半身の写真が消えるだろうと思ったが、その通りになった。

 ドーピングすると気持ちが高揚するが、ボディビルに打ち込む者は、自己愛に溺れるナルシストが多い。プチン大統領もその一人だ。

 ロシアは先端兵器をつくれても、消費材は何一つつくれない。石油、天然ガス、金、ダイヤモンドなどの採集経済に依存する縄文時代の国だ。ロシアはどこへ向かうのだろうか。


  サウジ崩壊危機の影響は
    Date : 2016/12/19 (Mon)
 日本の国力は、電力によって支えられている。

 砂漠と、ナツメヤシとラクダと、石油が噴出する国々が集中するアラビア半島に、日本のエネルギーの80%以上を依存している。

 シリアはアラビア半島のわきにあるが、イスラム国(IS)と、米ロ、英仏、シリアのアサド政権、反体制派、トルコ、イラク、イラン、レバノンのヒズボラ、クルド族などの国や、諸派の軍や民兵が入り乱れて、死闘を繰りひろげている。出口が見えない。

 私はワシントンを訪れて、安全保障の関係者に「中国とサウジアラビアのどちらが先に崩壊するか、賭けをしよう」というが、賭けが成立しない。全員が私と同意見で、「サウジアラビアだ」と答える。

 サウジアラビアにイスラム国の無気味な黒い旗が翻る可能性は、かなり高いものがある。

 イスラム国は、イスラム原理主義のイデオロギーだ。イデオロギーはいくら爆撃してみても、粉砕できない。

 もし、サウジアラビアが崩壊して、アラビア半島が混乱に陥れば、日本は原発の稼働を停めているから電力が停まって、“蛍の光、窓の雪”の生活を強いられることになる。

 サウジアラビアと中国は、3000万人対14億人と人口こそ違うが、双生児(ふたご)のように、よく似ている。

 中国は習近平国家主席をはじめ、300のファミリーが支配している。サウジアラビアは数えかたによるが、3000のプリンスのファミリーが支配している。両国とも政治、集会、言論、表現の自由がまったくない警察国家だ。

 サウジアラビアは反目する多部族から構成されているが、これまで潤沢な原油収入によって、家賃から光熱費、水道料、医療費、教育までタダという、バラ撒きによって、国内不満を抑えていた。

 原油価格の暴落を受けて、政府は脱石油による経済大改革を試みているものの、もはや手遅れだ。原油高価格という“黄金の杖”を失ない、社会不安が増大している。

 中国も社会安定を、右肩上がりの経済成長に頼ってきたが、魔法の杖を失ってしまっている。我武者羅な経済運営が破綻して、体制が大きく揺らごうとしている。

 おそらくトランプ政権はシリアをアサド政権を援けるロシアに委ねて、手を引き、イスラエルと結び、エジプトを守ることにしよう。

 さて、日本はどうする?


  米に働きかけ北朝鮮を核武装国家と認めさせるべきだ
    Date : 2016/12/15 (Thu)
 日本にとって、北朝鮮が差し当たって、最大の脅威だ。中国ではない。

 中国は長期的な脅威だが、トランプ政権の出かたを窺っているから、ここしばらくは日米同盟を強化することによって、抑え込むことができよう。

 私は10月にワシントンを訪れた時に、国防省の関係者に、「オバマ大統領はどうかしている。北朝鮮が5回目の核実験を行ったというのに、北朝鮮が核武装国家だと認めることを拒んでいる。そのかたわら、国連というカフェで北の暴挙だとか、経済制裁を強化するというお茶飲み話に耽っている」といった。

 米朝間にも、南北朝鮮間、日朝間にも話し合いがまったくなく、北朝鮮を目隠し状況に置いている。戦争は疑心暗鬼と、誤算から起るものだ。

 北朝鮮が核兵器開発を進めてきたのは、金一族体制を核なしに、守れないと確信しており、日本や、アメリカを「火の海」とすることは望んでいない。

 日本はトランプ新政権に働きかけて、まず北朝鮮を核武装国家として認め、日米が北と交渉して、北の核弾頭数とミサイルの射程距離を制限するのと引き替えに、米朝平和条約と日朝国交を結んで、日本は1965年の日韓国交樹立時のような経済協力を行う。

 ミサイルの射程は、九州から南北軍事境界線までが500キロだから、それ以下とする。金正恩委員長以下、北の体制の安泰が保障されるから、大喜びして受け容れよう。拉致被害者全員が帰国して、朝鮮半島に平和秩序が確立される。

 北は韓国が日本のカネで、1965年から“漢江の奇蹟”を行ったように、ピョンヤンを流れる“大同江(テドンガン)の奇蹟”を実現するから、十数年は親日国家となり、韓国は反日を唱えられなくなる。

 中国は図体は大きいが臆病だから、全面戦争はたたかわない。「軟土深掘(やわらかい土を掘れ)」を信条として、もっぱら弱いところに力を伸ばそうとする。

 中国は何とか日本を挑発して、尖閣諸島を奪いたい。武装漁民を上陸させ、日本が警官隊で対応できずに自衛隊を繰りだしたら、人民解放軍が襲いかかる筋書きを描いていよう。

 日本として尖閣諸島に海洋生物研究所を置いて、欧米の学者も招いて、海上保安官を用心棒として駐屯させる。中国は怒ろうが、軍事衝突のリスクのほうが、はるかに恐ろしい。


  なぜトランプは安倍首相と真先きに会ったのか
    Date : 2016/12/13 (Tue)
 トランプ大統領当選者が、世界のリーダーのなかで誰よりも先に、安倍首相と会談した。

 安倍首相が4年前に返り咲いた時には、オバマ政権から「ナショナリスト」「歴史修正主義者」として嫌われた。ナショナリストはアメリカの覇権という、グローバリゼーションを妨げるから邪魔者になる。

 安倍首相が靖国神社を参拝すると、東京のアメリカ大使館が非難する談話を発表した。

 だが、いまや、ナショナリズムは非難すべきものでなくなった。

 そして、メルケル首相が大量の難民を入れたために精彩を失い、フランスのオランド大統領の支持率が低下し、イギリスのキャメロン首相がEU残留をめぐる国民投票に敗れて辞めたために、安倍首相が世界のなかで抜きんでたリーダーとなった。

 トランプ次期大統領が真先に安倍首相を会談の相手として選んだのは、当然のことだった。
 
 いま、トランプ政権の対外戦略政策がどうなるか見きわめようとして、議論が沸騰している。

 バカバカしいことだ。オバマ大統領の8年間が無策だったために、アジアでは中国という習近平首席が操る竜が南シナ海をわが物にし、中東はイラク、シリア、リビアなどが大混乱、サウジアラビアも危ふい状況だ。

 ヨーロッパではプチン大統領が跨る熊がクリミアを盗み、ウクライナ東部に爪を立てている。ロシアがバルト3国を奇襲するのか、風雲急を告げるわきで、EUが溶解しつつある。

 世界が流動化しているのだ。トランプ新政権だって、世界がいったいどうなるのか、見きわめようとしている。

 私はトランプが勝つ可能性が高いと書いてきたが、トランプ、ヒラリーのどちらが勝とうが、アメリカの対外政策はそう変わらないと説いてきた。アメリカは超大国として世界秩序を支えるのに草臥れて、内へ籠ろうとしている。ヒラリーになったら、オバマ政権のヘマを引きずったから、もっと不安だった。

 アメリカのリーダーシップが弱まることになるから、日本を守るためにも、アジアにおいて、日本がリーダーシップをとって補強しなければならない。

 アメリカはアジアで、日本の他に頼れる国がない。メイク・ジャパン・グレイト・アゲインの好機なのだ。


  トランプ政権は北朝鮮の現実を直視せよ!
    Date : 2016/12/09 (Fri)
 旧聞だが、北朝鮮が9月に核実験を行った日に、アントニオ猪木国会議員と武貞秀士拓殖大学特任教授が訪朝していた。

 労働党副委員長と会見したところ、ミサイル発射・核実験の狙いは、日本が標的ではなく、アメリカを対話に引き出すことにあると、表明したという。

 私は北朝鮮が最高指導者の父君の金正一総書記のもとで、核兵器開発を開始した時から、北朝鮮が核開発を放棄することはありえないから、いくら北朝鮮、中国、ロシア、アメリカ、韓国、日本による6ヶ国協議を行っても、無駄だと論じてきた。

 北朝鮮が核武装に固執するのは、それなしに金一族体制を守ることができないと、確信しているからだ。

 核兵器がなければ、北朝鮮は経済が破綻した、誰も見向きもしない、みすぼらしい小国でしかない。

 リビアのカダフィ政権が、オバマ政権による軍事攻撃を蒙って崩壊したのは、アメリカの甘言によって騙されて、核兵器開発を放棄したからだった。もし、カダフィ政権のリビアと、サダム・フセイン政権のイラクが核武装していたとしたら、今日でも両政権が在続していたはずだ。シリアのアサド政権についても、同じことがいえる。

 北朝鮮にとって、金一族体制を守ることこそが、唯一つ至上の国家目標である。アメリカと戦ったり、日本を攻撃することではない。猪木議員が聞きだしたことは、北朝鮮の本音である。

 私は10月なかばにワシントンに5泊して、国防省を囲む専門家と、意見を交換した。

 私は「オバマ政権は、どうかしている」と、いった。

 「北朝鮮が5回目の核実験を行い、6回目を準備しているというのに、オバマ政権は北朝鮮を核保有国家として認めることを、拒んでいる。町のなかで火事が始まっているというのに、火災ではないといっているのと、変わりがないではないか」

「そのかたわら、国連というカフェで、北朝鮮の暴挙を許さないとか、北朝鮮に対する経済制裁を強化するとか、無駄なお茶飲み話に耽っている」

 「北朝鮮に対する経済制裁を、いくら強化すると決議しても、中国がよそ見をしているから、意味がない。テレビの画像で、北朝鮮の人民軍がパレードするごとに、ミサイルを載せた百足(むかで)のような、巨大なトレイラーが映し出されるが、中国が2011年に制裁決議を破って、供給したものだ」

 私は続けて、「今月、米韓軍が38度線にほぼ沿った軍事境界線の南で、大規模な軍事演習を実施したが、北朝鮮が核兵器を保有していることを前提として行った。それなのに、政権が北朝鮮を核保有国として認めないのは、夢遊病者ではないか」と、いった。

 「次期政権は北朝鮮が核保有国家であるという、現実を認めるべきだ。そのうえで、北朝鮮が保有する核弾頭数と、ミサイルの飛翔距離に制限を加えるべきである」

 「東京から北朝鮮の日本海岸までが1000キロメートル、九州から北朝鮮の黄海岸までが500キロメートルだ。北朝鮮が射程500キロまでのミサイルの保有することを認める」

 「北朝鮮がこれらの制約を受けいれれば、アメリカ、北朝鮮、中国、韓国のあいだで平和条約を結ぶかたわら、日朝国交正常化を行って、日本は日韓国交樹立時に今日の貨幣価値で、韓国に数兆円を供与したが、北朝鮮に同様な経済協力を提供する」

 「そうすれば、拉致被害者が全員帰国することになり、朝鮮半島に平和秩序が構築されることになる」

 このままでは、万一、日本が将来、北朝鮮から核攻撃を蒙ることがあっても、アメリカが北に核報復攻撃を加えることはありえない。アメリカが核武装国と、戦うはずがない。


  現行憲法が外国製であることの“異常”さ
    Date : 2016/12/05 (Mon)
 日本が占領下で自由を奪われていた間に、外国によって銃口を突きつけられて、強要された現行憲法は、日本国憲法と呼ばれているが、「日本国」の名に価いしない。

 天皇は、日本国の「象徴」(第1条)と規定されているが、「日本国憲法」の原文である英語では、「シンボル」と書かれている。

 日本の憲法の原文が、外国語の英語だというのは、異常なことではないか。

 「異常」という言葉は、「体の異常を訴える」とか、「精神が異常だ」という意味で、用いられる。

 原文が外国語であるということだけとっても、今日の日本は異常である。

 「日本国憲法」が制定されるまでは、「菊花は御皇室の象徴である」というように、象徴という言葉はあったが、日本語で人間を指して、「象徴」という使用法はなかった。シンボルという原文を、他に訳しようがなかったからだった。

 現行憲法のなかで一つ、それまで日本語に存在しなかったのに、日本語として新しく造られた言葉が、用いられている。

 ブンミン――「文民」という言葉だ。憲法第66条2項は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と、定めている。

 軍人であってはならない、というのだ。第九条が軍隊を保有することを禁じているから、軍人がいるはずがないのに、このような条項があるのは奇妙なことだが、大慌てでつくった、お粗末な“即席憲法”であることを、示している。

 占領軍がつくった原文では、この「文民」に当たる言葉は、「シビリアン」である。ところが、それまで「シビリアン」には「市民」とか、「民間人」という訳語しかなかったので、法律の用語として適切でなかった。

 もし、現憲法を日本の手でつくって、制定したとすれば、それまで存在しなかった、新しい言葉を造って、用いることはなかっただろう。このこと、一つだけをとっても、現憲法が外国製であることが分かる。

 私は「象徴」という言葉を、それまでなかった用いかたをしたり、「文民」という新しい言葉を造ったことを、非難しているのではない。

 明治以後、「社会」「個人」「宗教」「指導者」「独裁者」や、「恋愛」という、それまで日本語のなかになかった、おびただしい数にのぼる新語――明治翻訳語と呼ばれる言葉――が造られては、日本語に仲間入りしている。

 私は本誌の前号で、日本はいま生きている日本国民のものだけではないと、訴えた。

 当然のことだが、2000年以上にわたって、日本列島に生を享けて、日本という国を創ってきた御先祖たちも、この国の主人である。

 日本国はこの瞬間だけ、存在しているのではない。父祖代々にわたる深い根がある。根のない国にしてはならない。
天皇が「日本国民の象徴」であるという時には、いま生きている日本国民の象徴であられるだけではなく、2000年以上にわたる日本国の象徴であられるのだ。

 昭和天皇は、今上陛下が御成婚になられた日に、「あなうれし神のみ前に 日の御子のいちせの契り結ぶこの朝」と、御製を詠まれている。天照大御神のお血筋を継がれていることを、祝われたのだった。


  東京五輪で「台湾」というもっとも大切な国とどう接するか
    Date : 2016/11/22 (Tue)
 日本の安全保障にとって、もっとも大切な国といったら、台湾だ。

 もし、台湾が敵性勢力によって支配されることがあったとしたら、その瞬間から日本の独立が、危ふくなってしまう。

 このところ、アメリカは中国によってすっかり幻惑されて、政権も、議会も、台湾へ眼を向けることがなくなった。

 日本と台湾との間は、日本にとって台湾がかけがえのない国だというのに、1972(昭和47)年に日中国交正常化を行った時に、台湾と国交を断絶して以来、公的なものではなく、民間の関係だとされている。

 それにもかかわらず、台湾国民は日本が大好きだ。毎年、台湾で行われている世論調査では、日本が毎年、「もっとも好ましい国」として、アメリカや、他の国を引き離して第1位を占めている。

 東日本大震災に当たって、台湾は300億円近い義捐金を贈ってくれたが、どの国よりも大きなものだった。それも、台湾政府によらずに、台湾の国民の募金によるものだった。

 台湾が中国によって呑み込まれることが、あってはならない。日本として公的な関係がないとしても、台湾を励まし続けなければならない。

 東京オリンピック・パラリンピック大会が、あと4年を割っている。

 台湾チームも、東京大会に参加するが、中国が国際オリンピック委員会にゴリ押しをしたために、これまでロンドン大会でも、リオ大会でも、「台湾」という国名を用いることが許されず、「チャイニーズ・タイペイ」という呼称を用いることを、強いられてきた。

 ところが、香港もオリンピック・パラリンピック大会に参加してきたが、「チャイニーズ・ホンコン」ではなく、「香港」という呼称を用いている。

 それだったら、なぜ、台湾が「台湾」として参加してはならないのだろうか。どうして、台湾だけが「チャイニーズ・タイペイ」という名称を、用いなければならないのか。理不尽なことである。

 オリンピック・パラリンピックは、政治闘争の場ではない。オリンピック憲章によって、政治を持ち込むことは、禁じられている。人類が政治を忘れて、スポーツで競う祭典であるはずだ。

 台湾という国は、現実に存在している。「チャイニーズ・タイペイ」は、偽称である。それに、どこを捜しても、そのような地名は世界のどこにも、存在していない。

 オリンピック・パラリンピックに、「台湾」として参加することは、台湾国民の夢であるはずと思う。

 日本は、2020年オリンピック・パラリンピック大会の主催国として、台湾を「台湾」の呼称で招くことができるように、努めるべきである。主催国である日本のオリンピック委員会と、主催都市の東京都が主張すれば、実現することができると思う。

 もし、台湾のアスリートたちが東京大会に、「チャイニーズ・タイペイ」としてではなく、「台湾」として参加することが実現すれば、台湾国民が東日本大震災に当たって、国民をあげて見舞ってくれたのに対する、御返しとなろう。

 日本は、台湾を見捨ててはならない。日本の安全保障にとって、どの国よりも重要だ。日本を見捨てることに、均しい。


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